英語にも「堪忍袋の緒が切れる」と似たことわざがありますが、英語ではラクダと藁(わら)という単語が登場します。
「堪忍袋の緒が切れる」とは、もうこれ以上我慢できず怒りが爆発するという意味のことわざです。
相手を堪忍する度量の大きさを「袋」に例えていて、その袋の中に不満をどんどん溜めるのです。通常はその袋の口は細いひも(緒)で結ばれているため、不満が外に漏れることはありません。しかし、袋の中の不満が多くなり、一定量を超えるとそのひもが切れ、中の不満が溢れ出て大爆発・・・ということになります。
英語でも似た状況を表すことわざがありますが、英語ではラクダと藁(わら)という単語が登場します。
今日のフレーズ
It is the last straw that breaks the camel’s back.
堪忍袋の緒が切れる
※straw=藁
直訳すると、「ラクダの背骨を折るのは最後の藁」です。
背中に沢山の荷物を載せさせられたラクダを想像してください。そして、たとえ最後に載せたのがたった藁一本であっても、限界を超えたらラクダの背骨が折れてしまいます。そんな語源を持つのが今回のことわざです。
ここでstrawという単語について一言。strawとは、藁の他にもジュースなどを飲むときに使うストローの意味でもあります。実は藁は中が空洞になっているため、昔は本当に藁を使って飲み物を飲んでいたそうです。
さて、ここで今日のことわざに戻ります。It is the last straw that breaks the camel’s back. ということわざですが、とても長いですよね。そこで、嬉しいことに英語圏では the last strawと短くしたバージョンで使われることが多いのです。
the last straw
我慢の限界になるきっかけ
限度を超えさせるもの
決定打・決め手・とどめ
この last strawになるものというのは、我慢の限度を超えさせる原因となる繰り返し起こる問題・失敗・イライラのことで、その時点までは「七転び八起き」でなんとか乗り越えられてきたことが、とうとうギブアップの状態になってしまうという意味です。また、普段なら目をつぶることができたかもしれないことでもあります。順風満帆であれば何でもないような些細なことも、不満やストレスが溜まりに溜まっているときは、それがきっかけで大爆発してしまいます。
カップルの喧嘩などもそのようなことが多いと思います。通常なら「もう、しょうがないわね」と拾っている脱ぎ捨てられた靴下も、仕事でストレスが溜まり、何もかもが上手くいっていないと感じているときには、「すぐそこの洗濯機に入れればいいだけなのに、なんでこんなところに脱ぎっぱなしなの!」と喧嘩の火種になりかねません。この場合、キレるきっかけになった拾った最後の靴下がthe last strawに当たります。では、使い方を例文で詳しく見ていきましょう。
例文
A: What’s wrong? You look upset.
怖い顔してどうしたの?
B: My boss has just asked me to work from home on the weekends from now on. I’ve been working over 80 hours a week for the past 3 months. This is the last straw. I quit.
これからは週末も在宅で働けって上司に言われたの。ここ3ヶ月間は週80時間以上働いてきているのに。もう無理。辞めてやる。
A: How are things going with you and Steve?
スティーブとどう?うまくいってる?
B: I broke up with him a couple of weeks ago.
数週間前に別れた。
A: What happened?
何があったの?
B: Well, I had been patient about him being late on our dates all the time, but it was the last straw when he forgot my birthday.
いつもデートに遅れてくることに関しては目をつぶってあげてたんだけど、私の誕生日を忘れたのは決定的だったね。
A: Aww… I’m sorry to hear that. You deserve someone better.
えー、それは残念だったね。もっといい人いるよ。
OK, that’s the last straw. I can’t take it anymore!
もう限界。これ以上我慢できない!
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